研究概要

代社会を支えるコンピュータや半導体デバイスは、自動運転、医療、通信、データセンターなど、私たちの生活に欠かせないさまざまな場面で使われています。しかし、宇宙から降り注ぐ放射線の一種である「宇宙線」が半導体に当たると、記憶されている情報が一時的に書き換わり、電子機器が誤動作することがあります。この現象は「ソフトエラー」と呼ばれ、機器の小型化・高性能化が進むほど、社会インフラの信頼性を考える上で重要な課題になっています。なかでもミュオンと呼ばれる粒子は、建物や地中を通り抜けやすく、設置場所を工夫するだけでは避けにくい放射線です。

私たちは、宇宙線ミュオンによって半導体にどの程度ソフトエラーが起こるのかを明らかにし、将来のコンピュータの信頼性を予測するための基盤技術を開発します。最先端の半導体デバイスを用いた照射実験により、ミュオンが引き起こす誤動作を詳しく測定するとともに、放射線が半導体中でどのようにふるまうかを再現する高精度なシミュレーション技術を構築します。また、実験で得られるデータとシミュレーション結果を比較することで、ミュオンが半導体に与える影響をより正確に理解し、さまざまな利用環境における誤動作の発生率を予測できるようにします。

本研究の目的は、避けることが難しい宇宙線ミュオンが、地上のコンピュータや半導体デバイスの信頼性に与える影響を、実験とシミュレーションの両面から明らかにすることです。その成果により、将来の半導体でどの程度の誤動作が起こり得るかを事前に予測し、必要な対策を設計段階から検討できるようになります。さらに、ミュオンの物質中でのふるまいを高い精度で解析・予測できる技術を広く活用できる形に整えることで、半導体分野だけでなく、放射線計測や原子核・放射線物理の発展にも貢献します。これにより、自動運転、ロボット、通信、AIシステムなどをより安全・安心に利用できる社会の実現を目指します。

研究画像

研究組織

研究代表者

研究分担者

橋本 昌宜
橋本 昌宜
安部 晋一郎
安部 晋一郎
竹内 浩造
竹内 浩造

研究協力者

  • 新倉 潤(理研):ミュオン核物理・照射実験
  • 川瀬 頌一郎(九大):原子核物理・照射実験
  • 加藤 貴志(ソシオネクスト):半導体信頼性・測定デバイス開発
  • 五味 唯美(京大):半導体ソフトエラー・解析
  • 福田 光宏(阪大):加速器開発・ビーム照射
新倉 潤
川瀬 頌一郎
加藤 貴志
五味 唯美
福田 光宏