研究概要

本研究が所属する研究領域では、負ミュオンの多角的利用を目指した研究が数多く計画されています。それらを高度に実現するためには、狙った場所へ大量の負ミュオンを照射できる、高収束・高輝度ビームの開発が不可欠です。すなわち、エネルギーが揃い、収束性に優れた低速負ミュオンビームが求められています。本計画研究では、領域全体の研究基盤となる負ミュオン低速化技術を開発し、高収束・高輝度の低エネルギー負ミュオンビームを実現します。

さらに、低速化した負ミュオンを用いて、宇宙創成の謎に迫ります。現在の素粒子標準理論は、地上で行われたほぼすべての実験結果を無矛盾に説明しています。しかし、「なぜ宇宙には反物質がほとんど存在せず、物質ばかりが残ったのか」といった根源的な問いには答えることができません。そのわずかな「綻び」を探索する有力な手段の一つが、素粒子の性質を究極的な精度で測定する精密実験です。我々は、真空中に静止させた負ミュオンの寿命やスピン歳差運動を精密測定し、標準理論を超える新物理の探索に挑みます。

さらに本研究の究極的な目標として、これまで誰も観測したことのない「反ミュオニウム」の生成を目指します。反ミュオニウムは、負ミュオンと陽電子から成るエキゾチック原子であり、いずれも人工的に生成される粒子です。自然界にはほとんど存在しないこの未知の原子を生成・精密測定できれば、既に高精度で研究されているミュオニウムとの比較を通じて、物質と反物質の違いに関する重要な知見が得られると期待されます。

研究組織

研究代表者

研究分担者

西村 昇一郎
西村 昇一郎
永谷 幸則
永谷 幸則
下村 浩一郎
下村 浩一郎
薮内 敦
薮内 敦

研究協力者

山崎 高幸
Patrick Strasser
高峰 愛子
酒見 泰寛
仁尾 真紀子