領域代表 下村浩一郎
領域代表 下村 浩一郎
高エネルギー加速器研究機構

20世紀は「電子」が情報革命を起こし、私たちの暮らしを大きく変えた時代でした 。そして今、21世紀の新しい主役として世界中から期待を集めているのが「ミュオン」という素粒子です 。  
かつては物理学の最先端でのみ注目されていたミュオンですが、今ではピラミッドの内部や貴重な文化財を壊さずに透視したり 、次世代のスマートフォンの材料を開発したり 、さらには未来のエネルギー問題の解決策として研究されるなど、社会を豊かにする存在へと大きく進化しています 。  
本プロジェクト「負ミュオン科学の新地平」では、この中でも特にユニークな性質を持つ「負ミュオン」をキーワードとして、これまで交わることのなかった幅広い学問分野を一つにつなぐ壮大な挑戦に乗り出します 。  

私たちは、負ミュオンを起点として、大きく4つのテーマに取り組みます。  

  • 【A 基盤】新しい技術の土台づくり
    ミュオンをさらに使いやすくするための最新技術やデータシステムの開発 
  • 【B 物質】身近な機器から未知の物質まで
    コンピュータの誤作動(ソフトエラー)を防ぐ研究や、新しい原子核の解明   
  • 【C 宇宙】宇宙と生命のルーツを探る
    宇宙の成り立ちの謎解きや、小惑星の砂から太陽系の進化を明らかにする探究   
  • 【D 人類】医療と歴史への貢献
     がん治療などに向けた新しい医療用アイソトープの開発や、歴史的な文化財の調査 

ミュオンの寿命は、たったの「100万分の2.2秒」しかありません 。しかし、その一瞬の輝きの中には、目に見えないミクロな素粒子の世界から、果てしないマクロな宇宙、そして人類の文明の歴史までを一気通貫で理解し、社会を変革する無限の可能性が詰まっています 。  
日本が世界に誇る研究施設を中心に 、分野の垣根を越えた若手研究者たちが集い、全く新しい「知の融合」をここから発信していきます 。皆様の温かいご関心とご支援を、心よりお願い申し上げます。